文章術 雑記

AI は文章を圧縮できない。

黒い目のきれいな女の子。

これは 8 通りに読める。修飾語(句)が連続すると、混乱が生まれやすい。

この文を AI に書かせるのは至難だ。読点をいれればまぎれがなくなるのだが、AI には優先順がわからないらしい。それで、ひとの意図とは違う文章を書いてしまう。

(a)黒い目の、きれいな、女の子。
(b)黒い、目のきれいな、女の子。

 

この文を、人間がなおすとこうなる。

(C)黒い目の女の子。

 

実は、この文は海外留学をした日本の学生をトピックにした記事の一部の導入文だ。「黒い目」である学生はひとりしかいなく、それが彼女だと書いている。

その特徴が書けていればよい。

むしろほかの修飾語はノイズにしかならない。

 

AI にもその情報はいれているのだが、どうやら AI にはこういった「優先順位」がわからないらしく、うまく文章の圧縮ができない。

そもそも優先順位なんて考えていない。ただそれっぽいものを書くだけだ。だから、なかなか「黒い女の子」にはならないが、よく「きれいな女の子」にはなる。

 

AI の文章には、なんかこう山場がないのだ。「ああ、ここを書きたくて筆をとったのか」という部分がない。すべての情報がおなじだけあって、読み終わっても印象に残らない。

ひとが書いた文章はこうならない。必ず「書きたかった文」があるのだから、その付近の前書き・説明・補足は自然におおくなる。

音楽がイントロからはじまり、サビに向けて準備するのに似ている。

 

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最近、AI っぽい文章を修正するための記事をよく見かける。

多くのひとが「ああでもない。こうでもない。」と考察をしている。

おれはそういうのを見て、たいていは「つまんね。最初から自分で書けばいいんじゃね?」と冷笑してしまうのだが、考察のひとつに「効果あるかもな」と納得したものがある。

AI の書いた文章を 要約し + 圧縮しろ というものだ。

 

要約するには、内容を正確に理解する必要がある。

圧縮するには、情報の優先度を正しく理解する必要がある。

 

ひとが情報を取捨選択することで、あえてリズムを崩し、山場をつくる。

 

……。

…………。

書きたいことは書いてしまった。

さいごに、おれの思う要約と圧縮のヒントかいて締める。

 

 

要約のコツ

要約とは、たんに文章を短くすることではない。

「わかりやすい文章」になることが重要で、そのためには、読む対象をはっきりさせ、文体を相手(状況)にあわせることだ。

読み手にあわせて、状況にあわせて、書かなくてもよいことは書かない。ふさわしい情報が選択されていることが、わかりやすい文章の基礎をなす。

 

4つの柱がある:

  • 目的:書く目的をはっきりさせる
  • 対象:読む対象をはっきりさせる
  • 内容:書く内容をはっきりさせる
  • 行動:読み手に期待する行動をはっきりさせる

ポイントは以下だ:

  1. 読み手はどの情報を重要だと考えているか
  2. 読み手が知りたいのは「要約」か「詳細」か

 

仕事の文章であれば、このふたつのポイントだけを意識すればよろしい。

プライベートで書く文章には、ここに「自分は何を伝えたいのか」というエッセンスをくわえたい。途端に、いかにもひとの書いた文のようになるからおどろく。

 

 

圧縮のコツ

圧縮は、情報の優先順位をきめることであり、それはことばのセンスを選ぶことでもある。「同じ意味で、短い言葉はないか」をさがすのがよい。

 

特に、おもしろい文章を書きたいなら、「ニュアンスの異なるもの」から、伝えたい事柄にぴったりとあうものをさがす努力をしなければならない。

「仏蘭西料理」からは、いかにも豪華なメニューがならびそうで、値段がはっても文句がいえないような雰囲気を感じる。「ふらんす語」と書かれた語学スクールは、なんとなく楽しく学べそうな反面、上達はしなさそうだ。

「寄り合い」というと若者が逃げだす。「つどい」と優雅に気どれば、口笛を吹きながらひとがやってくる。

昔の女の子は「おいしい御飯を食べて」ばかりいて、たまに「うまい飯を食った」りすると、下品(な言葉遣い)だと親に叱られた。

「腹」も「おなか」も、それが<腹部>をさす点ではおなじだが、「腹」のほうは、そのことばの使い手に男性的なイメージが濃く感じるし、「おなか」のほうは子どもっぽく感じる。

 

─── AI っぽい文章の卒業者には、あそびを楽しむ余裕や言語感覚を期待したい。

似た意味の語が、それぞれどういうひろがりをするか見さだめ、そこから自分がいま伝えようとしている意味をもっとも的確にあらわす語を選びだすことを課したい。

  • 「ふくらむ」と「ふくれる」を明確に使いわける。
  • 「わりと」と「わりかた」と「わりかし」を感じわける。
  • 「御飯」から茶碗を、「ライス」から皿を連想する感覚をそなえる。

これが、「センス」とよばれる地味な能力だと、おれも思う。

 

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実は、上述した内容については、過去まったく同じことを書いている。おもしろい文章を書きたいひとは、タイトルに騙されず、ぜひ読んでほしい。

「仕事の文章」の書き方。

 

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