文章読本を読んでいると、パラグラフということばをよく聞きます。どうやら、「読みやすい文章」というテーマを語るときに「パラグラフ」は外せないようです。
ただ、正直なところ、私は「パラグラフ」が文章のどこを指すのかあまり分かっていません。そこで「パラグラフ」を含む、「文章」をかたち作る要素とその範囲を備忘として残すことにしました。
目次
文章を構成する5つの要素
まず、5つの要素をあげます。
- ①文章
- ②パラグラフ
- ③トピック
- ④トピックセンテンス
- ⑤センテンス
各要素の関係はつぎのとおりです。
①文章
└─②パラグラフ(段落)
├─ ④トピックセンテンス(文)
├─ ⑤センテンス(文)
├─ ⑤センテンス(文)
└─ ⑤センテンス(文)
②パラグラフ(段落)
├─ ……
└─ ……
※④は、③トピック(主題)を含んだ⑤センテンス。
カンタンに説明します。
①文章は、複数の②パラグラフによって構成されます。
①文章
├─ ②パラグラフ(段落)
├─ ②パラグラフ(段落)
└─ ②パラグラフ(段落)
②パラグラフは、ひとつの④トピックセンテンスと、複数の⑤センテンスによって構成されます。
②パラグラフ(段落)
├─ ④トピックセンテンス(③)
├─ ⑤センテンス(文)
├─ ⑤センテンス(文)
└─ ⑤センテンス(文)
パラグラフは、いわゆる「文のはじめから改行までの範囲」で、センテンスはパラグラフ内にある「文のはじめからマル(。)までの範囲」です。
センテンスには2種類あります。
③トピックを示す④トピックセンテンスと、そのトピックを補足・説明するひとつ以上の⑤センテンスです。
パラグラフには原則としてトピックセンテンスが含まれるようです。トピック(主題)を変えたいときは改行し、あたらしいパラグラフを作らないといけない、ということになります。
要素について
5つの要素について文章で説明する。
①文章
- 全体のまとまり。
- 複数のパラグラフ(段落)で構成される。
- トピックやテーマ、主張が含まれている。
②パラグラフ(段落)
- 文章の中のひとつの「かたまり」。
- ひとつのトピック(主題)について主張・説明する。
- ひとつ以上のセンテンス(文)で構成される。
③トピック(主題)
- パラグラフ(段落)であつかう主題・テーマ。
- パラグラフごとにひとつのトピックをもつのが基本。
- (トピックが変わるときに改行をする。)
④トピックセンテンス(文)
- パラグラフの中で、トピックを示す文。
- 原則として、パラグラフの最初に置かれる。
- 原則として、パラグラフにひとつ。
⑤センテンス(文)
- 最小の、意味のある文。
- 主語と述語を含む完全な文。
- トピックを補足・説明をする文。
このようにまとめると、パラグラフライティングが重要視されるのもよくわかります。「パラグラフを読みやすくすること」こそが、文章を読みやすくすることと同じだからです。
文章がパラグラフの連続だとすると、「ひとつのパラグラフにトピックはひとつ」というルールもピンとくる話です。これで、改行のタイミングに悩むこともなくなりそうです。
以上です。
参考書籍
木下 是雄『理科系の作文技術』中公新書(1981年)
原作:木下是雄 作画:久間月慧太朗『まんがでわかる 理科系の作文技術』中央公論新社(2018年)
Appendix
パラグラフライティングについて学ぶのにオススメの書籍は『理科系の作文技術』です。文章読本としても最強との呼び声が高いので、おススメの1冊です。
簡単な例をあげて説明しよう.
A君は根っからのスポーツマンだ.夏は水泳,冬はスキー,春と秋はテニスと,日焼けのさめる間がない.いちばん年季を入れたのはスキーだという.
パラグラフは,上の例にみられるように内容的に連結されたいくつかの文の集まりで,全体として,ある一つのトピック(小主題)についてある一つのこと(考え)をいう(記述する、明言する、主張する)ものである.いまの例では,トピックは「A君」で,このパラグラフは全体として彼が「スポーツマンである」ことを述べている.
パラグラフには,そこで何について何を言おうとするのかを一口に,概論的に述べた文がふくまれるのが通例である.これをトピック・センテンスという.上の例では第1文「A君は根っからのスポーツマンだ」がそれだ.
木下 是雄『理科系の作文技術』P61
ただ、『理科系の作文技術』は、文章読本を読んだことのないひとにとっては内容が難しく感じられるかもしれません。『まんがでわかる 理科系の作文技術』もオススメです。
>「だいぶ続けて書いたから、このへんで切るか」という理由でパラグラフを区切っている人が多いように見受けられますが、各パラグラフを意識して書くことは非常に重要です。(…)パラグラフには、そこで何について言おうとするのかを概論的に述べた文が含まれるのが一般的です。これを「トピック・センテンス」と言います。
久間月慧太朗『まんがでわかる 理科系の作文技術』P78